供給途絶対策・事業承継

Supply disruption countermeasures and business succession

地方経済局との連携も通じ、政府が提供する補助金・税制・金融等の経営支援ツールの活用を促進します。

地方経済産業局では、地域の関係機関と連携し、日頃より中小企業等への支援を実施しています。NSCPでは、地方経済産業局が各地方に点在する原子力サプライヤの事業課題・実態を把握し、経済産業省との情報共有を進めながら、各サプライヤへのきめ細かい支援の提供を実施していきます。
参照:第6回革新炉ワーキンググループ資料(18ページ)

各サプライヤからのご意見やご要望、その他補助金・税制に関するお問合せはこちらより、該当する地域の地方経済産業局にご連絡ください。

原子力サプライヤが活用できる支援施策集

原子力分野において利用可能な、主な補助金についてご紹介します。
支援施策集の一覧はこちら(2023年11月2日時点版)よりご確認ください。

原子力産業基盤強化事業

世界トップクラスの技術力や経験・実績を有している国内プラントメーカー・サプライヤー等による原子力関連機器・サービスの安全性や信頼性向上に資する技術開発や、事業撤退を余儀なくされる事業の継承、製造プロセスにおけるデジタル化の促進等を支援します。加えて、持続可能な原子力産業基盤の実現に向けた課題の検討に複数の事業者が連携して取り組むことを促進することで、原子力の安全性や信頼性を支えるサプライチェーンを強化します。

支援例は以下のとおりです。

  • 供給途絶リスクのある素材・部品の製造技術・事業の代替サプライヤへの
    継承
  • デジタル技術の活用等による現場の製造ノウハウの高度化・技能継承
  • 海外市場獲得を狙うサプライヤの海外規格の取得

詳細は原子力産業基盤強化事業(令和6年度概算要求)を参照ください。

事業再構築補助金

大胆な賃上げや、グリーンを含む成長分野への再構築・規模拡大に取り組む事業者、市場規模が縮小する業種・業態等からの転換を図る事業者、新型コロナ・物価高騰等により業況が厳しい事業者を支援します。

申請類型 補助上限
※従業員規模により異なる
補助率
成長枠
(成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者向け)
2,000万円、4,000万円、
5,000万円、7,000万円
中小1/2
中堅1/3
グリーン成長枠
(研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う事業者向け)
<エントリー>
中小:4,000万円、6,000万円、8,000万円  中堅:1億円
<スタンダード>
中小:1億円  中堅:1.5億円
中小1/2
中堅1/3
産業構造転換枠
(国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者向け)
2,000万円、4,000万円、5,000万円、7,000万円
*廃業を伴う場合、2,000万円上乗せ
中小2/3
中堅1/2
サプライチェーン強靱化枠
(海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う事業者向け)
最大5億円 中小1/2
中堅1/3
物価高騰対策・回復再生応援枠
(業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者向け)
1,000万円、1,500万円、2,000万円、3,000万円 中小2/3
(一部3/4)
中堅1/2
(一部2/3)
最低賃金枠
(最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい事業者向け)
500万円、1,000万円、
1,500万円
中小3/4
中堅2/3

 

詳細は事業再生構築補助金を参照ください。

ものづくり補助金

革新的製品・サービスの開発又は生産プロセス等の改善に必要な設備投資等を支援します。

申請類型 補助上限
※従業員規模により異なる
補助率
成長枠
革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援。
750万円〜1,250万円 1/2
2/3(小規模・再生事業者)
回復型賃上げ・雇用拡大枠
業況が厳しい事業者※が賃上げ・雇用拡大に取り組むための革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資を支援。
※前年度の事業年度の課税所得がゼルである事業者に限る。
750万円〜1,250万円 2/3
デジタル枠
DXに資する革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援。
750万円〜1,250万円 2/3
グリーン枠
温室効果ガスの排出削減に資する取り組みに応じ、革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援。
【エントリー】
750万円〜1,250万円
【スタンダード】
1,000万円〜2,000万円
【アドバンス】
2,000万円〜4,000万円
2/3

【大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例】
補助事業終了後、3〜5年で大幅な賃上げに取り組む事業者に対し、上記枠の補助上限を100〜1,000万円、さらに上乗せ。(回復型賃上げ・雇用拡大枠などは除く)

詳細はものづくり補助金総合サイトを参照ください。

その他の支援施策

経済産業省の予算支援例

供給途絶対策に係る取り組みの実績をご紹介します。

日本ギア工業の補助金活用事例

電動弁の駆動装置(アクチュエータ)内の直流(DC)モータの製造企業が2022年の撤退を表明したことを受け、日本ギアが設計を引き継ぎ、代替サプライヤによる製造・性能検査を推進しています。DCモータの開発には、経済産業省の「原子力産業基盤強化事業」の補助金が活用されました。詳細はこちらをご確認ください。

TVEの補助金活用事例

原子力発電所向けの高温高圧バルブを製造しているTVEでは、経済産業省の「原子力産業基盤強化事業」の支援を受け、バルブ鋳型の木型から発泡型への移行、デジタル技術を活用した鋳型造形プロセスイノベーションを進め、少量多品種のバルブ製造管理プロセスの伝承を進めています。詳細はこちらをご覧ください。

発泡鋳型の例

一般産業用工業品の採用に向けた手法の整備とガイドラインの発行

原子力施設の安全機能に係る機器は、厳格な品質管理が求められています。その管理を個々のサプライヤが負担する仕組みは、事業環境上の課題となっています。そこで、サプライチェーンにおける品質管理の役割を適切に見直し、品質を維持しながら、一般産業用工業品の採用を可能とするプロセスが求められていました。
このような課題に対応するため、日立GE、三菱重工、東芝ESS、IHIの4社は共同で「原子力産業基盤強化事業」の支援を受け、「一般産業用工業品の採用における安全性・信頼性を確保する手法の整備」として、一般産業用工業品を採用するにあたってのガイドラインの素案を作成しました。さらに、日本電機工業会(JEMA)は、上記のガイドライン素案を基に「一般産業用工業品採用ガイドライン」を制定・公開しました。

NSCPでは、産業界による一般産業用工業品の採用(CGD)の取り組みを支援していきます。今後、CGDに関する情報共有のイベント実施を検討しています。詳細が決まり次第、本HPでも連絡致します。

JEMAが制定した「一般産業用工業品採用ガイドライン」(表紙)

 

デモンストレーションを実施したリードスイッチ

3Dプリンタの活用に向けた取組

3Dプリンティングを活用することにより、部品製造にかかる期間・コストの短縮、撤退したサプライヤーの補完、従来手法では不可能であった最適形状の追求等が可能になることが期待されます。三菱重工と東芝ESSは、「原子力産業基盤強化事業」の支援を受け、令和元年度より3Dプリンティングによる部品製造に関する技術開発を実施しています。また、国内での実用化に向けて、産業大で日本機械学会(JSME)での規格化に必要なデータ取得等も進めています。
原子力小委員会の資料(26ページ)および原子力産業基盤強化事業報告書も参照ください。

参考情報

一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)による統計情報

一般社団法人 日本原子力産業協会(JAIF)による産業動向調査

国際機関等の原子力サプライチェーンに関する報告書やワークショップ