Nuclear Supply Chain Platform

原子力サプライチェーンプラットフォーム

NSCPの概要

原子力サプライチェーンプラットフォーム(NSCP)は、産業界、教育・研究機関、官公庁等が協力して、日本国内の原子力関連企業を支援し、原子力サプライチェーンを維持・強化していくことを目指します。地方経済局とも連携し、人材育成・確保、供給途絶対策・事業承継、海外プロジェクトへの参画支援などサプライチェーン全般に対する支援を実施します。

支援策

  • ① 人材育成・確保
    産学官の人材育成体制を拡充し、大学・高専と連携したものづくり現場のスキル習得を進め、原子力サプライヤの講座への参加を支援します。
  • ② 供給途絶対策・事業承継
    地方経済局との連携も通じ、政府が提供する補助金・税制・金融等の経営支援ツールの活用を促進します。
  • ③ 海外PJへの参画支援
    国内サプライヤの実績や技術的な強みを発信する機会・ツールを積極的に企画・開発し、日本企業による海外展開支援を行います。

 

原子力サプライチェーンシンポジウム

2023年3月6日に「原子力サプライチェーンシンポジウム」が経済産業省資源エネルギー庁主催、日本原子力産業協会共催で開催され、NSCPの設立と今後の原子力サプライチェーン支援に対する政府方針が示されました。
さらに2024年3月14日には「第2回原子力サプライチェーンシンポジウム」を開催、NSCP設立以降の取組、さらなるサプライチェーン強化に向けた方針が齋藤経済産業大臣(当時)から述べられ、加えてグロッシーIAEA事務局長からは日本を含む世界における原子力産業の重要性が語られました。

原子力サプライチェーンシンポジウム(2023年3月6日)
第2回原子力サプライチェーンシンポジウム(2024年3月14日)

設立趣旨

齋藤健経済産業大臣(当時)の挨拶

日本の原子力サプライチェーンについて

世界に目を向けると原子力の必要性を再認識する動きが着実に加速しています。2023年12月のCOP 28においては、2050年までに世界の原子力発電設備容量を3倍に増やすことを目指すという宣言に25か国が参加し、またCOPの成果文書に脱炭素化の手段として原子力が初めて明記されました。安全を大前提とした原子力の可能性を広げて、グローバルにエネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現を両立していくために我が国の産業界への期待も寄せられています。(中略)

その上で、「産業」という視点から見れば、東日本大震災以降、需要は大きく減退し、13年もの長きに亘って、原子力発電所の建設機会が失われてきました。そのことによって、我が国の原子力産業を支える基盤となる技術や人材が、危機に直面しています。我が国では、誇らしくも、半世紀以上に亘る技術の研鑽・蓄積により、原子炉圧力容器から小さなバルブの1つに至るまで、確固たる技術を有する原子力サプライチェーンと人材を育成、保持し、極めて高い国産化率を実現してきました。こうした高度で重厚な産業基盤は、安全最優先での原子力発電所の再稼働はもちろん、次世代革新炉の開発・建設にとっても重要な要素であることは言うまでもありません。しかしながら、現在、原子力発電所の建設という一大事業について、次世代にバトンをつないでいくための時間的猶予は、ほとんど残されていません。

こうした強い危機感の下、2023年2月に閣議決定された「GX基本方針」の策定を契機に、政府は、原子力産業基盤の維持・強化に向けて大きく舵を切りました。次世代革新炉による建て替えといった新たな方針を打ち出すとともに、原子力基本法には、「原子力人材や産業基盤の維持強化、事業環境の整備に向けて、国が必要な施策を講じていくこと」をしっかりと明記しました。

2023年3月の第1回シンポジウムを契機として、「原子力サプライチェーンプラットフォーム」の枠組みを立ち上げて以来、経済産業省では、全国約400社の原子力関連企業に対し、技能講座開発支援や設備投資補助などの支援を展開してきました。また、海外でのプロジェクト機会を活かした、海外プロジェクト参画支援を行っており、経済産業省が主導して官民ミッション団を米国やカナダに派遣し、SMRなどでの協業機会を追求する取組も進めています。これは、同志国とのサプライチェーン協力を強化することにも貢献するものです。こうした政策支援をこれまでよりも多角化し、強化して参ります。

 

NSCPの会員企業について

NSCPは、国内外の原子力施設向けに資機材や建設、保守管理、輸送等のサービスを提供した経験を有する国内企業を対象として支援を実施します。海外資本の影響を大きく受けている場合など総合的に判断の上、加入をお断りする可能性もありますのでご了承ください。また、当該企業の参加によりNSCPや他の参加企業の社会的信用を落とす可能性があると判断した場合には、加入のお断り、入会後であっても退会を要請する場合があります。入会のお申し込みは、こちらよりお願い致します。

参考情報:原子力産業に係る委託調査の成果

経済産業省では、原子力産業に係る調査業務等を委託し、成果を公開しています。
その一部を紹介します。

令和4年度原子力の利用状況等に関する調査(原子力分野における国際協力枠組み等に関する調査)報告書
_米国、英国、韓国、カナダにおける原子力サプライチェーンに対する取組のほか、GE-Hitachi、NuScale、EDF、Framatome、Rolls-Royceといった海外企業におけるサプライヤ選定プロセスについて調査し、まとめられています。
令和4年度原子力産業基盤強化事業(原子力産業基盤を支えるサプライヤーの状況整理と事業継続施策案の構築(BWR))
_BWRプラントメーカーである東芝・日立GEが、国内外におけるサプライチェーン維持に関する施策を調査、さらにポンプ・バルブメーカーに焦点を当て、サプライチェーン維持のための方策を検討しています。
令和4年度原子力の利用状況等に関する調査(国内外における原子力政策・産業動向調査等)調査報告書
_米国、英国、フランス、韓国といった諸外国における原子力関連政策、さらに原子力関係国際機関における動向が調査、報告されています。
令和4年度原子力産業基盤強化事業委託(原子力機器へのAM材適用に向けた材料データベース構築)
_3Dプリンタによる付加製造技術(AM:Additive Manufacturing)の原子力分野での適用を目指し、原子力製品メーカー4社で協業・分担して各種試験から得られたAMによる材料特性データを蓄積、AM材の評価を行っています。
令和4年度原子力産業基盤強化事業委託費(一般産業用工業品の放射線環境下の使用指針の整備事業)事業報告書
_原子力施設で使用される一般産業用工業品の放射線環境下での特性評価が求められる中、放射線に弱い構成部品であるセンサ類に注目し、耐放射線性のデータを整理、原子力施設でのセンサ類の適用方法を検討しています。
令和3年度原子力産業基盤強化事業 原子力の利用状況等に関する調査(国内外の原子力産業に関する調査)報告書
_日本国内の原子力産業やサプライチェーンの状況、諸外国における動向を整理、その上で日本の原子力産業基盤強化に向けた課題と提言を行っています。

 

経済産業省の委託事業に関する調査報告書は、以下リンクよりご確認いただけます。
https://www.meti.go.jp/topic/data/e90622aj.html