
武藤経済産業大臣の挨拶
日本の原子力サプライチェーンについて
3月11日、東日本大震災から14年を迎えます。東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓をひと時も忘れることなく取り組むことは、揺るぎないエネルギー政策の原点です。日本を取り巻くエネルギー情勢は、大きく変化しています。ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢は、エネルギー自給率が低く、化石燃料への依存度が高い我が国のエネルギー供給構造のリスクを改めて認識させました。加えて、DXやGXの進展による電力需要の増加も見込まれ、産業界が脱炭素電源を求める中で、必要な脱炭素電源を確保できるかが国力を左右する状況にあります。先月閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、エネルギーの安定供給、経済成長、脱炭素の同時達成に向けて、脱炭素電源の確保の観点から、再エネか原子力かといった二項対立的な議論ではなく、再エネとともに、原子力を最大限活用していくことが必要不可欠であると明文化しました。
既設炉を長期的かつ安全に利用していくためにも、また、次世代革新炉の開発・設置を進めるためにも、サプライチェーンと人材は必須の要素です。部品の供給体制の維持や現場の技術の継承、人材の確保・育成が重要です。我が国では、ポンプやバルブの一つに至るまで、高い技術と国産化率を誇る原子力サプライチェーンと高度な人材を有してきました。しかし、震災以降、長きにわたる建設機会の喪失で、こうした基盤が脅かされつつあります。経済産業省では、この強い危機感の下、「原子力サプライチェーンプラットフォーム」の枠組みを立ち上げ、技術や人材基盤の維持・強化に取り組んでまいりました。立ち上げから2年が経過し、今年2月末には、新たに、原子力発電所を有する電力会社11社にも参画いただき、計約200社の企業・団体を擁する一大コミュニティとなりました。
この枠組みを活用し、皆様方から丁寧にニーズをお伺いしつつ、国として、原子力産業・人材基盤の維持・強化に向けて取り組んでまいります。これまでも、サプライチェーンの構築に向けた、機器・部素材の開発支援や原子力人材の育成支援、海外の建設プロジェクト参画に向けた、官民ミッションの派遣や海外規格の取得支援などに取り組み、100社を超える原子力関連企業への支援を実施してきました。令和7年度政府予算案においては、新たにGX移行債の財源も活用し、次世代革新炉の開発・設置に向けたサプライチェーン支援事業を拡充致しました。
経済産業省としては、新たなエネルギー基本計画のもと、原子力政策を全力で前に進めてまいります。
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