齋藤健経済産業大臣(当時)の挨拶
日本の原子力サプライチェーンについて
世界に目を向けると原子力の必要性を再認識する動きが着実に加速しています。2023年12月のCOP 28においては、2050年までに世界の原子力発電設備容量を3倍に増やすことを目指すという宣言に25か国が参加し、またCOPの成果文書に脱炭素化の手段として原子力が初めて明記されました。安全を大前提とした原子力の可能性を広げて、グローバルにエネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現を両立していくために我が国の産業界への期待も寄せられています。(中略)
その上で、「産業」という視点から見れば、東日本大震災以降、需要は大きく減退し、13年もの長きに亘って、原子力発電所の建設機会が失われてきました。そのことによって、我が国の原子力産業を支える基盤となる技術や人材が、危機に直面しています。我が国では、誇らしくも、半世紀以上に亘る技術の研鑽・蓄積により、原子炉圧力容器から小さなバルブの1つに至るまで、確固たる技術を有する原子力サプライチェーンと人材を育成、保持し、極めて高い国産化率を実現してきました。こうした高度で重厚な産業基盤は、安全最優先での原子力発電所の再稼働はもちろん、次世代革新炉の開発・建設にとっても重要な要素であることは言うまでもありません。しかしながら、現在、原子力発電所の建設という一大事業について、次世代にバトンをつないでいくための時間的猶予は、ほとんど残されていません。
こうした強い危機感の下、2023年2月に閣議決定された「GX基本方針」の策定を契機に、政府は、原子力産業基盤の維持・強化に向けて大きく舵を切りました。次世代革新炉による建て替えといった新たな方針を打ち出すとともに、原子力基本法には、「原子力人材や産業基盤の維持強化、事業環境の整備に向けて、国が必要な施策を講じていくこと」をしっかりと明記しました。
2023年3月の第1回シンポジウムを契機として、「原子力サプライチェーンプラットフォーム」の枠組みを立ち上げて以来、経済産業省では、全国約400社の原子力関連企業に対し、技能講座開発支援や設備投資補助などの支援を展開してきました。また、海外でのプロジェクト機会を活かした、海外プロジェクト参画支援を行っており、経済産業省が主導して官民ミッション団を米国やカナダに派遣し、SMRなどでの協業機会を追求する取組も進めています。これは、同志国とのサプライチェーン協力を強化することにも貢献するものです。こうした政策支援をこれまでよりも多角化し、強化して参ります。
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